家に届いた謎の納品書の事を追求できないまま数日がたったある日曜日。
夫は仕事に出かけました。
土曜日の休日出勤は日常茶飯事でしたが、日曜日は滅多にありません。
普段ならなんとも思わないのに、納品書の事があってから少しずつ疑念を抱いていた私は、夫の行動を観察するようになりました。
会社に行くというのに、やたら気候を気にして出かけて行きました。
ふと見ると、仕事に行くときのカバンが置いたままです。
衝動的にカバンの中身を見てしまいました。
夫のカバンをこっそり見るのは初めてです。
特に変なものは入っていなかったけど、会社の社員証が入ったままです。
「これが無いと会社に入れないんじゃないの?」
妙に引っかかります。
その日は私も知り合いと会う約束をしていました。
大事な用事だったのでなるべく余計な事は考えず、話しに集中するようにしました。
しかし要件が済むと夫の行動が気になって仕方ありません。
お茶を飲むのもそこそこにその知り合いと別れ、私は無我夢中で夫の会社へと車を走らせていました。
夫の会社の駐車場に着いて、いつも車を停めている辺りに目をやりました。
しかし夫の車はありません。
車から降りて1台1台確認するように見ました。
さほど大きな駐車場ではないので見逃す事はありません。
しかしいくら探しても夫の車はありませんでした。
胸が締め付けられる思いでした。
しかしその時も私は、お客さんを迎えると言っていた夫の言葉を思い出し、お昼時なので食事にでも連れて行っているのだろうと納得するようにして、その場を去りました。
どこにいるの?
何をしているの?
気のせい、勘違い、と思い込むことによって平常心を保つことで精一杯でした。