私達はアラフィフ。
子供も独立して孫もいます。
夫は会社でもそれなりの地位に就き、周りが見れば何一つ不自由なくて家庭円満で羨ましいとよく言われていました。
たしかに、私は好きな事をやらせてもらっても何一つ文句を言われた事などありませんでした。
何でも「お前の好きなようにすればいいよ。」と。
常に優しく、冷静で、人の事も思いやれる器の大きな人。
私は夫の事を客観的に見てもこんないい人世の中に二人といないと思っていました。
現にいつも「夫はいい人で私にはもったいないくらい。」と話していました。
仲も良い方だと思っていました。
そんな夫なので言い争いや喧嘩になることもまずありませんでした。
子供を早くに産み育て、その子も結婚してやがて孫が生まれてその世話に明け暮れていました。
今年に入ってから夫婦の時間というものをそろそろ真剣に考えようと思っていました。
しかしそれにはずっと背を向けていた問題がありました。
子育てに傾倒してきた私は、夫を男として見ていなかった部分がありました。
つまり私たちは長い間レスだったのです。
本当に長い間でした。
20年以上です。
こんなのでよく夫婦と言えるよなって、後で考えると思いました。
一時期は寝る寝ないで問答したこともありましたが、いつしかそんな事が話題に上る事も無くなっていました。
なんとなく気にはなっていたものの、お互いいい年だし、そういう欲も無くなってしまったのだろうと思っていました。
そして私も、もう一生夫と夫婦の営みをする事はないのだろう、と思っていました。
一生誰ともすることはないのだろう、と。
そのことを除けば、なんら問題ない生活を送っていました。
けれど、夫婦で楽しい老後を過ごしたいと考えた時に、今までは子供とばかり行動を共にしてきたので、夫と二人っきりで何かすることに違和感を感じました。
こんな現状で旅行やショッピング、食事に行って楽しいのだろうか?と。
必要なのは「お互いを男女として見る」事だと思いました。
私は夫と二人で何かをしたかったし、仲良くやっていくのは理想でした。
それを現実の物にするにはやはり越えなければならない壁があったようです。
長年放置してしまった夫婦間の問題。
家族の一員とは違った「夫婦の愛」というものを取り戻すには、天地がひっくり返るほどの衝撃が必要だったようです。
それが夫の浮気だったとは、その頃はまだ知る由もありませんでした。