雲を掴むような気持で始めた夫の浮気の証拠集め。
世間一般的に言われている『携帯のメールを見る』という行動は、スマホにロックがかかっているので無理でした。
領収書やハガキ。それらは一見浮気とは直結しませんが、私にとっては小さな証拠です。
疑い始めればすべてが怪しく見えて、何かが一つ現れただけでも胸が痛みます。
そんな途方に暮れる作業を始めてしばらくして、一人リビングでお茶を飲んでいた時、何かにはじかれたようにピーンときました。
目の前に置いてあるノートパソコン。
そこから口では説明できないほど異様なオーラを感じました。
置きっぱなしでもちろんパスワード設定などしていないし、誰でもいつでも触れます。
半信半疑で開いてみました。
普段は夫がちょっとした書類を作ったり検索画面を見たりする程度の、夫専用のノートパソコンです。
中身もシンプルで、複雑な設定がしてあるわけではありませんでした。
そもそも浮気を疑い始めたきっかけは我が家に届いた身に覚えのないハンドバッグの納品書。
納品書だけで物は届いていません。
それすらも誰かの代理で購入したものだろう、と思い込むようにしていたお人好しな私です。
いえ、最悪の事を考えて傷付きたくなかった、ただそれだけでした。
その納品書によれば、購入経路は某大手通販サイトでした。
高鳴る心臓の鼓動を感じながら、そのサイトにアクセスしてみました。
すると夫のIDが記憶されていて、ログインする事ができました。
普段はほとんど会社のパソコンか携帯からアクセスしているようで、まさか自宅のノートパソコンから私がサイトを閲覧するなどとは微塵も思っていなかった事でしょう。
購入履歴を見て、失神しそうになりました。
我が家に届いた納品書のハンドバッグは相手の家に直接送っていました。
これにより、私は全てを一瞬で知る事となりました。
相手の名前、住所、電話番号。
そして、長きにわたってその不倫相手に次々と送りつけているプレゼントの数々。
会社宛てで受け取っていたものもありました。
すべて女物です。
その品の一つにはゴルフのパター練習マットまで購入していました。
私達夫婦の共通の趣味でもあるゴルフの練習を相手の家で一緒にしているのかと思ったら、はらわたが煮えくり返ってきました。
ついでにゴルフ場の予約サイトものぞいてみました。
同じく、いとも簡単にログインする事ができました。
そのプレー履歴によれば、過去何回もその相手と2人でゴルフに行って、おまけにゴルフ場へのプレー後の感想までしっかり書き込んでありました。
「ものすごく楽しかったです!」と。
手も体も震えました。
そしてその予約は今後も続いていました。
来月と再来月。
そして極めつけがフリーメールでした。
これは浮気相手と直接やり取りをしたものではなかったですが、夫と浮気相手を取り巻く環境が詳しくわかる内容の物がザクザク出てきました。
相手は同じ会社の社員。
近くに住んでいる。
夢中でその画面を写真に撮って『証拠』フォルダに集めました。
完全に容疑は固まりました。
でもまだ私の中では、この事実を問い詰めるべきかやめるべきか、迷っていました。